田尻祐介物語・・8年間のキックの軌跡

「田尻祐介物語・・8年間のキックの軌跡」

=LEGIONイン鹿児島2017Wメインエベント 田尻祐介 VS 安村龍有=

著者・岩倉豪


彼を見たのは、8年前の「激突」のリング、まだアマチュアの頃に相手のローブロー(金的蹴り)で反則のイエローカードを頻繁に行うキックボクサーと不名誉な印象の選手で必ずしも好意的に見れない反則ファイターだったが、戦う回を重ねることで技量が上がってり、MAキッククルーザー級王者、元K-1ジャパン3位の瀧川リョウと接戦を制し判定勝ちで勝利し、九州でも指折りのヘビー級キックボクサーと存在を響かせた。

その田尻祐介が今回の試合で引退を宣言した。

では最後の試合を語る前に田尻の半生を紹介しよう。




田尻の父親はお金にルーズで暴力団も含めた色々な所からお金を借り色々な所が家に借金の取り立てはくるし、名義を貸すよう言われるし、学校にも取り立てはくるしと大変辛い10代を過ごしました。

幼稚園に行っている弟もいたので、特に自分が子どもを守りたいと思いが強くなり21歳頃、保育士の資格を取りたいと思い学校に通い資格をとり人生を立て直そうと思いました。

保育士資格取得後、念願の児童養護施設「わけあって色々な理由で親と一緒に生活することが出来ない子どもがいる施設です』で働く事ができ本当に日とに尽くしているんだと感慨深かった。




働きながら、魔裟斗の憧れからキックボクシングを始め、坊海竜の谷川代表と出会い、技術、人間性ともに色々学び格闘技をしながらも母親の弟、父親が刑務所に入っていることを知り、やるせない気持ちの中で、そんな時に好きな人に出会い二人三脚で頑張って幸せのひと時を過ごしましたが、人生のすれ違いが多く、恋愛も上手くいかずひどい別れ方をしてしまいました。

そこでいろいろなことがありましたが身近な人たちの為に生きて行こうと思いキックボクシングの引退を宣言しました。現役時代に多くの怪我もあり肉体的に限界でしたが、一番の理由は家族を大事にしたいと思い引退を決意しました。

多くの心のすれ違いあり、自分の人生を深く考え好きな人とも別れ、数ヶ月後には引退試合だ。様々な色々な思いが試合前の数ヶ月は溢れていました。

でも自分はプロ、辛くても練習はしないといけない。その時期は泣きながら「強kなるんだ!試合に勝つんだ!」と叫びながら練習をしていました。

試合前日も豪雨降り注ぐ中で母の住む家に行くと階段を滑り落ち拳を打って怪我をしてしまい、雨の中で「だからこの家は嫌いなんだ!!」と田尻が叫ぶと、母が「ここは家じゃないよ、団地だよ」と答えた。

そして試合前に拳を怪我をしてリングに上がる田尻、対する安村は2年前に田尻と戦い優勢に戦いを進めていたが試合終盤に1発のハイキックで逆転KO巻けで意識を失い救急車乗せられた苦い思い出を持つ、そして・・・今・・・再戦。

1ROUNDのゴングが鳴り試合が始まると、パンチを出す安村に田尻は一気に間合いを詰めて首相撲から膝蹴りと、パンチが打てない不利な状況を好転させるために接近戦を選ぶ、ロープ際で安村を押し込みボディーに執拗なまでの膝蹴りを見舞う。

首相撲の状態で膠着しレフリーの「ブレイク」の指示で距離を取る二人、ここからパンチの打ち合いが始まる。

だがパンチの打ち合いは安村が優勢、怪我で思い通りに打ち合いできず不利と見た田尻は、再び首相撲からの膝蹴りに切り替え、動きが止まりブレイクで離されるたびに田尻は地味にローキックを蹴り込みダメージを与え、何度も繰り返すことで安村から機動力を奪い、たまらず動きが止まり、そこから追い打ちをかけるように首相撲膝蹴りで安村のボディーに着実な傷を負わせ確実に倒す為に追い込む、1ROUNDのゴングが鳴る頃には安村のボディーにダメージを蓄積させ、田尻が優勢だった。

2ROUND、ゴングとともに勢いよくパンチを出す二人、田尻は拳の怪我の痛みに顔をゆがませながら攻めるが、動きに精細さが見えない。このラウンドに勝負をかけに来たのだろう。田尻は首相撲からボディーの膝蹴りと戦術を徹底させダメージを与え、安村の動きが鈍くなり顔を下に俯かせ苦渋の表情を浮かべ後退りを始めた。

膝蹴りの追撃を続ける田尻に、ついに安村がボディーが苦しくなり顔のガードがたまらずボディーを抑えた。




そう!。。

その瞬間が来た。

2年前と同じ安村が病院送りにされた光景が再現されるように、顔面への膝蹴りが吸い込まれるように連打され、安村は逃げ場がないまま追い込まれふらつき、そこに田尻はトドメの右ハイキックを命中させ「バチン!」という乾いた響きが会場に木霊し仰け反り倒れリングに両膝をつく安村、その額から出血しリングに血がボタボタと音を立て落ち、レフリーがダウンを宣言しタイムストップてドクターチェックの判断を待つ。

試合の再開か? このまま終わりか?

田尻はニュートラルコーナーで大きく息をし「フ~!」と履くとゴングが鳴り、田尻の勝利がアナウンスで宣言された。

2ROUND1分13秒 右ハイキックでダウン後に額から出血のためTKO、これがキックボクサー田尻祐介が最後にリングに残した軌跡、見事な最後の晴れ舞台と言えよう。



田尻祐介物語のエピローグ、田尻祐介から送られた手紙の文面を最後にお読みください。




「無事引退試合を終わりました。
今振り返ると、自分の人生おは色々ありましたが、選手生活を終えて人生に一つの節目、節目は大事です。
新たなる道に進むためには大きな人生の切り替えし、自分の不甲斐ない所を見つめ直すチャンスを頂けた出来事だと今は思ってます。
辛い体験を、経験に変え、より良い人生になるよう色々な勉強をする事が出来たと思っています。 」

by田尻祐介